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ヒーローごっこ4
ぼくは、再び夢を見ていた。
夢にもいろいろな種類があるのだけれど、やっぱりその夢は、妙にリアルな夢で、とても鮮明に覚えているものだった。
いや、もしかしたらそれは、ぼくにとっての真にリアルな体験だったのかもしれない。
ぼくは、この世界の現実になんとなく嫌気がさしていたのかもしれない。
なんとなくピリピリとした雰囲気。人々の怖れ、嘆き、諦め。みんな不安を感じている。異常なのは自らの心の内の世界なのか、それともこの世の中か。ううん、その両方、かな。
いくらぼくでも、さすがにこの世界が直面している絶望に気づいている。
ぼくは、この世界を見捨てることもできた。あるいはぼくが世界から捨てられてしまうかもしれないけれど。
それでも結局は、ぼく自身のヒーローごっこを続けなければならない。そうパブロフが言っている。
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