お金を貸して

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 私は、心の中で、園山さんに謝った。  思い出も、贈り物もいつかは褪せてしまう。そして、片隅に追いやられてしまう。  思い出は細部まで思い出してみると思い出すこともあるという。しかし、私の今回の件は、忘れてはいけないことだったような気がする。  箱を母から取り上げて、自分の机まで持っていき、丁寧に開封した。  箱を開けてみると、綺麗なダイヤモンドのネックレスとブレスレットが入っていた。そして、紙が入っていて、「お待たせ。時間かかっちゃってごめんね。」と書いてあった。  白いレースの服と合わせてみると相性がピッタリだった。先程、母に言われた意思疎通という言葉がぴったりとはまる。  私はまた、心の中で園山さんにメッセージを伝えた。ありがとうと言った。感謝の方が気持ちいいだろうし、私の性にも、彼女の性にも、きっとそれが合うだろうから。  彼女は明日、自信を持ってあの時の言葉をみんなに、もう一度言うだろう。私は笑顔で、彼女の隣で、その言葉をこの2つのアクセサリーを見せびらかしながら聞くだろう。  みんなの称賛の顔が頭に浮かぶ。  そして、もしかしたらと頭をよぎった。園山さんに向かってあの千坂さんが言うかもしれない。  「お金を貸して」 と。
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