億万長者

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 いつも行く近所の定食屋。  いつもと同じ席に座り、いつもより高い定食を注文する。  この店はいつも油臭い匂いがしていた。 「ん?今日はやけに景気がいいな!宝くじでも当たったか?」  定食屋の主人が元気に声を掛ける。 「いや。そんなんじゃないから」  俺は適当な返事を返し、近くにあったスポーツ新聞を広げた。 …5億…か。  新聞を見る振りをしながら、手に入れた巨額のお金について妄想を膨らませる。  そうこうしている間に、注文した定食が届く。  いつもとは違う、品数の多い「特製 唐揚げ・麻婆定食」  この時、すでに歯車は狂い始めてたのかもしれない。
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