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ちょうど40になる頃、俺は大学を卒業し、そのまま大学院へと進んだ。
預金はもうほとんどなくなっていたが、大学院のお金までは何とか工面することができた。
大学院で更に世界遺産について学び、書籍を読み漁り、自分なりの調査を行って論文を発表。
大学院を卒業する頃には、同じゼミの教授から仕事を斡旋してもらえた。
俺はまた働くようになった。
住む場所も小さなアパートに戻った。
でも前とは違う。
今度は自分の夢と希望に向かって、働くのだ。生きていくのだ。
金は全てなくなった。
考えてみると、5億もの金の半分以上が遊興費と旅費に消えていた。
しかし、そのおかげで、自分の一生を捧げられるものに出会えた。
家族と一緒に行ったハワイ旅行、世界を旅して見て回った各地の世界遺産、実家の両親、そして大学の恩師。
その全てが、今の自分を形成し、育ててくれたのだと分かった。
手元にあったお金はもうない。
でも、それで十分だ。
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