億万長者

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億万長者

 多額のお金が振り込まれた。  その金額、実に5億円。  当たると思っていなかった宝くじが、見事に当選したのだ。  6つの数字を選んだだけなのに。  ひとまず億万長者の仲間入りをしたわけだ。  とは言っても、安いボロアパートで通帳を広げてそれを見ているだけでは、全く実感はない。  何一つ、生活は変わっていないのだ。  当選前は「当たったら、あれして、これ買って…」など、夢・妄想を膨らませていたが、実際に当たってみると、何をどうしてよいか分からない。  とりあえず、飯でも食べに行くか。  普段より、ちょっと高い定食でも。  俺はアパートの床に無造作に置かれたジャンバーを手に取り、玄関を後にした。
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