雇われ魔法少女も楽じゃない

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「魔法少女? 私は正直に言うと、貴重な税金を彼女たちに使うのは反対です。 だって、好きでやってるんでしょう?」 「そうよね。それに、報酬をあげちゃうとお金目的の人が集まらないか心配よ。 心からやりたい人にやってほしいわ。 昔は無償だったのにねぇ……」 「お金がほしいなら、ちゃんと働くべきよね。 魔法少女なんて、どうせ遊びでしょ?」 はああぁ!?バカなの? お金がなかったら、どうやって生きていけばいいの? 魔法少女が無償だったのなんて、あたしがまだ生まれるずっと前の話でしょ。何十年前の話してんだよ。今は時代が違うんだよバーカバーカ。 好きでやってることなら、お金もらっちゃいけないわけ? じゃあアンタがまず無償で誰かのために働いてみろよ。ババ……じゃなかった、スーツをきっちり着込んだコメンテーターのお姉様方に、あたしは心の中でこっそり悪態をつく。 やっぱり「激論!魔法少女に税金を使うべきか否か」なんて番組のオファー受けるんじゃなかった。 ま、ギャラがいいから我慢できるわ。 収録が終わるまでは我慢我慢。 「そういう意見もありますよね。 のぞみさんはどう思われますか? やっぱりお金が欲しいから魔法少女になったんですか?」 「私が戦う理由ですか? お金のためなんかじゃないですよ〜☆ もちろん愛と正義のためです!」 グイグイぶっ込んでくる司会者に、あたしはウインクして決めポーズまでして、みんなの憧れの魔法少女を演じる。 魔法少女の掟その1、いついかなる時も魔法少女であることを忘れずに行動すること。 ……たとえそれが戦闘中以外でも、テレビ番組の収録中であったとしても、心の中では全く反対のことを考えていたとしても、ね。 どうにかして政権批判に持ち込みたいのか、税金が支給されている魔法少女を槍玉にあげて徹底批判してくるコメンテーターのオバさんと司会者を上手くかわしながら、子どもたちの憧れの魔法少女として振る舞った。
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