それから、それから。

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「あれから十年。自殺してしまった南君も、そろそろやっと成仏して天国に行ける頃だと思います。まずはみんなで、南君のためにお祈りしましょう。それでは……」 「天国になんか行けるわけないじゃん、バーカ」  流石に、呆れてものも言えない。僕は立ち上がって、はっきりとそう言っていった。 「お前ら全員、反省の意図ゼロか。一部のやつらは、虐めをしていたことも虐めがあった事実も認めないってか。お前らほんと、十年前から全然変わってねえのな?」  全員が、発言した僕を振り返る。そう。  次の瞬間。  声を出すことによって初めて僕の存在に気づいた全員が、顔を引きつらせて凍りつくのだ。  そりゃそうだろう。 「そろそろ成仏しようとか、思わなくもなかったけど。もういいや、やめた」  十年前と変わらない姿の少年が。  飛び降りた時の、血まみれの姿のままで立っていたら、誰だって驚くに決まっている。  僕はあちこち歯が折れた口を、笑みの形に歪めて――宣言してやった。 「みんなまとめて、地獄に堕ちろ」  次の瞬間。  教室は――阿鼻叫喚に包まれたのだ。
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