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自分が嫌だなあと最近、多々、多々思う。
高坂稔は、頭を抱えた。
正確には、左手で酒を呑みながら。
安酒万歳、今夜はコンビニ白ワインと。
この薄っぺらい、後腐れない感が良いのだ。
お値段お手頃、安いからと、呑み易い、いろいろな意味で。
かと言っても、そう簡単に酔える程、酒に弱くはない。
頭はいつまでも、いつまでだって、冴えている。
今日の出来事を振り返る、無意味に、何度もリピートする。
ちょっとした出来事は、珍しく機嫌良く饒舌だった上司に、まるで同調するかのように口を動かしたこと。
今、思えばご機嫌取りみたいに見えなくなくもない。
昼休憩後、マイ箸を洗っていると、再雇用組のおじさんに話しかけれる。
「高坂くんはすごいねえ、いや、素晴らしい、よく、まあ、うん!」
主語は一切なかった。
それでも、ニュアンスでなんとなく理解出来てしまうのが嫌だ。
別に、高坂は忖度しているつもりなどないのだ。
ただ、こう、あれだ。
息をするように、気を遣ってしまうだけなのだと。
最近、社会人何年目だよお前と、セルフツッコミを入れながら自身の特性を知った。
いや、大学の先生が言っていた。
無意識に気を遣ったしまうんだねと、そういえば、言っていた。
高坂としては、友人たちに気を遣っていたつもりなど全くなかった。
だから、心外だと、なんとなく、漠然とその言葉に面白くないと思った感情を覚えている。
それは、そうだろう。
あれはある種の大学デビューだ。
面白みのある人間になりたいと、堅物に思われる自分を多少払拭でもしたかったのだろう。
初対面ではA型、共に過ごしていくうちにB型と納得される、もしくは断定される自分。
そういうパターン化が幼少期から続けば、言われ続けば、それこそ無意識にそうなるのも無理はない。
いや、意識していた、意識していたのか。
今更ながら、ああいうのが自分をつくる、ということだったのだろうか。
キャラ作りとまではいかないが、しかし、それでも、それなりには、明るかったのだ、あの頃は。
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