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そしてその日はやってきた。
5月の半ば、よく晴れた日。
見送る為、学校を終えると急いで空港へ行く。人混みの中、高校の制服ではなく宇宙服を来て、荷物を運ぶセラ。美沙を見つけると一目散に駆け寄った。
「セラ!」
「…ミサ」
思わず彼女を抱きしめる。首筋に刻まれた9桁の番号が見える。彼女が惑星Uの住人である証。彼女が地球の人間ではない証。
話したい事は沢山ある。でも、最後にかけるべき言葉が何か分からない。
「ミサ」
セラが私の涙をそっと拭く。
「あの時の話、やっぱウソ」
「え?」
「最後は『さよなら』じゃなくて『またね』にしよう。また必ず会おう。さよならなんてしたくないよ…」
セラの目から涙が零れた。美沙は彼女を離すまいと必死に抱きしめた。
──────そして、彼女を乗せた船は大空へ消えていった。
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