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「さっ、暗い話はここまでにしてデザートにいくっすよ~?
ギャタピーのムースっす」
全員がサラダを食べ終わり、入れ替わりで運ばれたのはデザートだった。
ワイングラスに白っぽいムースが入っており、そこに刺すようにしてギャタピーの頭と尻尾を模したクッキーが刺さっている。
「これは……一体……」
ヨドが困惑するなか、ジュドーがクッキーをつまんでバリバリ食べ始めた。
「ヒレが入ってるな、このクッキー」
「ヒレが……」
ヨドがまごまごしている間にも、ルクソニアやリーゼンヘルクがクッキーに手を伸ばし、口にいれている。
「このクッキー、パリパリして美味しいのよ?」
ヨドは恐る恐るクッキーに手を伸ばし、ムースをクッキーですくって口にいれた。
「なるほど……。
ギャタピーの味がする……!」
真面目な顔でそう言うヨドに、エドガーは吹いた。
「そりゃそうっすよ、ギャタピーの身をムース状にしたデザートなんっすから。
他になんかこう、感想はないんすか?」
ヨドは目を見開いていった。
「ギャタピー感がすごい……!」
「ヨドさんの語彙力が消えた……!」
ケラケラ笑いながら突っ込むエドガーに、ルクソニアは頭に?マークを浮かべてヨドに聞いた。
「ヨド、ギャタピーのムース、嫌いなの?」
「嫌いではない」
ヨドは強がった。
「デザートと言うより、おかず感がすごいな」
クッキーを頬張りつつ、ジュドーが言った。ジュドーはムースを一気に流し込むと、ごくりと勢いよく飲み込む。
「デザートと思わなければ、美味しいっちゃあ美味しいぞ」
と笑顔で言うジュドーに、ヨドも同意した。
「そう、デザートと思うからダメなんだろう。デザートだと思わず、ギャタピー料理だと思えば美味しいと言えなくはない」
言いながら青い顔をしつつ、クッキーを頬張るヨド。
「無理はしなくて良いっすよ、ヨドさん」
ちょっと気の毒に思ったのか、エドガーが気を遣って言った。
「気遣いは結構。これしきのこと、何ら問題はない」
言ってヨドは、スプーンでグラスの中身を混ぜたあと、グラスをぐびびとあおり、ムースを一気に口の中へと流し込むのだった。
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