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全員の食事が終わったあと、エドガーが食堂を退出しようと出口に向かって歩を進める。
その背にルクソニアが声をかけた。
「エドガー、どこにいくの?」
声をかけられ、ドア前でクルリと身を翻してエドガーが答える。
「レターセットを取りに、執務室まで行こうかと。どうしたんすか~?
俺がいないとさみしいんすか? お嬢様」
ニヤニヤしながら言うエドガーに、ルクソニアは光のない眼を向けて言った。
「エドガーは転移魔法が使えるんだから、それを使えばいいのに、わざわざ徒歩で移動しようとしてるから気になっただけよ」
ルクソニアの返答にエドガーは眉をハの字にし、それを見たリーゼンベルクとアンは肩を震わせた。
「……すぐ戻るっすから、待っててほしいっす。ちなみに転移魔法は魔力切れで、今日はもう使えないっすよ、誰かさんを探すのに魔力をたくさん使ったっすから」
ルクソニアは言葉をつまらせた。
「……うっ。それは悪かったと思っているわ、こう見えても反省はしているのよ」
エドガーがジト目で言った。
「本当っすか~?」
上目づかいでエドガーをにらむ、ルクソニア。
「本当に本当よ!
とーっても反省してるんだから!」
「だったらもう急に思い立っていなくなったりしないで下さいね、お嬢様。
俺の寿命がいくらあっても足りなくなるんで」
「わかってるわよ、もう。
今後は急に思い立って、どこかに行ったりはしないわ」
「約束っすよ、お嬢様」
エドガーは小指をたてて、ルクソニアに向けてウインクを飛ばした。
「じゃあ、超特急でレターセットをとってくるっすよー。それまで暫しご歓談を」
言ってエドガーは扉の外へ消えた。
それを見送ったあと、ジュドーがぼやく。
「ご歓談をっつってもなー。
このメンバーで話すことと言えば、王立選の事か、明日の試合の事か、ギャタピーの事について話すくらいしかできねぇだろ。
……何について話す?」
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