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ヨドが言った。
「これも良い機会だ。王立選の事について、それぞれ意見の交換をするのはどうだろうか」
「みんながどう考えてるか話すってこと?」
ルクソニアがこてんと首を傾けて聞く。
ヨドは静かに頷いた。
「折角だからここらでいっちょう、アピール合戦と行こうってか。忙しないねえ」
リーゼンベルクがクックと笑う。
「ヨドは平和な世界を作ろうとしてるのよね、青の王子さまと一緒に」
ルクソニアがキラキラした目でヨドを見て言った。
そこへジュドーが割り込む。
「ご令嬢。理想だけでは事を成さないぜ?
ヨド殿の言葉を鵜呑みにして、なんでもかんでも信用するのは愚の骨頂だ。
誰だって耳障りの良い言葉ならいくらでも言えるが、実績が伴わなければ詐欺師と同じ。ヨド殿はその辺り、具体的にどう動く腹づもりでいるのか、教えてもらおうか」
「具体的に……そうだな。
まず勘違いしないでほしいのは、私とて、すぐに戦争がない世界にできるとは思っていないということだ。戦争を終結させるには、それなりのリスクを取らねばならないことも理解している。その上で我が陣営は、この国に眠っている有用な人材を活用し、戦争を終結させるための交渉をしようと考えている」
「この国に眠っている有用な人材ってなんだ?
それを使って、今さら黄の妃の故郷と交渉なんて、逆立ちしたってできるわけないだろう。
それとも、停戦している青の妃の故郷との事を話しているのか?」
ジュドーが首を捻る。周囲の視線がヨドへと集中した。
ヨドは静かに息を吸うと、言った。
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