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「もちろん、両方だ」
「両方!? 今、両方って言ったか?」
ジュドーは思わず席をたち、ヨドの両肩を掴んだ。
「ずいぶんと大きく出たなァ。お前さんはあれかい?
未来が見えるから、そんな大層な事言えるのか、それともその有用な人材とやらがすごいから、そんなことが言えるのかい?」
ヨドを見据え、値踏みするような視線をおくるリーゼンベルク。
「そんな人材、いたらとっくにうちの陣営に率いれてるぜ!
いないから魔獣軍を作ろうって話にうちはなってるんだし。
やっぱり青の陣営は口先だけで信用ならないな!」
ジュドーはドンとヨドの肩を後ろへ押しやるようにして手を離し、息巻いた。
「それはただ単にあなたたちが見つけられなかっただけだ。優秀な人材を、魔力量が少なかったり獣人だからと、はなから検討もせずにスルーしていただけだろう」
「いくら有能でも、無能力者や獣人を戦争に駆り出すのには、俺は抵抗がある。慈悲があるからな。
そんな面子で軍を組んだら、下手したら壊滅するぞ。勝てるわけがない!」
ヨドはふわりと微笑みながらこう返した。
「勝ち負けから遠ざかり、交渉のテーブルにつくのが我々のやり方だ」
「その交渉のテーブルにつかせるのが難しいんだろうが!」
ドンとテーブルを叩くジュドー。
ヨドと睨みあっている。
「きっと、交渉のテーブルにつかせる方法がヨドには見えているのよ!
ねえ、ヨド。そうでしょう?」
ルクソニアがキラキラした眼差しでヨドに尋ねた。
ヨドは少し困ったように微笑んだ。
「それに関しては、まだ、道半ばだ」
「ってぇ事は、確実な方法がある訳じゃあねェんだな?」
ヨドの瞳の奥を見据えて聞く、リーゼンベルク。
ヨドは静かに頷くと言った。
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