エピソード1 元姫、森でイケオジと出会う。

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泣きぼくろが印象的なメイドは、強制的に転移ゲートに押し込まれ、森の中にある出口に強制転送された。 転移ゲートから出た彼女は、黒い笑みを浮かべながら心の中で自分に誓った。 (戻ったらエドガーのみぞおちに、重い拳を一発、入れる。) ひとまず溜飲が下がった彼女は、周囲を見渡した。 どうやら近くに魔獣いないようだ。 彼女は静かに息を吐くと、両手を横に伸ばし、瞳を閉じた。 全身で風の流れを感じながら、身体の内側から静かに、波紋を広げるように魔力を流していく。 ーーどうか、お嬢様が早く見つかりますように。 祈りを込めながら全神経を研ぎ澄ませ、返ってくる風の振動を読む。 いくつか、それらしきものが見つかった。 彼女は静かに目を開けると、深く息を吐く。 そしてエドガーをぶん殴るというモチベーションを抱えて、背後で煌々と光る転移ゲートの中へと入って行った。
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