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「そんな顔をするものではないよ、ルクソニア嬢。
今の王の代では戦争が終わらないかもしれないが、次代の王が国をおさめる頃には、世の中の流れが少しだけ変わるかもしれない。希望をなくしてはいけないよ」
ルクソニアは澄んだ目で、まっすぐヨドをみて聞いた。
「次の王様が……戦争をなくしてくれるの?」
ルクソニアの瞳に、儚げなヨドの笑顔が映る。
「そうあってほしいと、私も願っている」
祈りにも似た言葉を、ヨドは噛み締めるようにつぶやいた。
「だからこそ私たちは、みずからの進むべき道を間違えてはいけないんだ」
強い意志を感じさせるヨドの瞳。
一陣の風が、ふたりの間を通り抜けていく。
「ルクソニア嬢。
この国はもうすぐ、変換の時を迎える」
「……変換の時?」
「新しい王を決める試験が、1年後に行われるんだ」
その瞬間、ルクソニアの目が大きく揺れる。
「それって……新しい王様に変わるってこと?」
ヨドは静かに、首を横に振った。
「次代の王を、皆で決める時が来たという話だ」
ルクソニアはヨドの言葉を聞き、頭に疑問符を浮かべた。
「それって、どういうこと?」
ルクソニアはこてんと首をかしげる。
「今までは任命制だったものを、変えるということだよ。
現国王である虹の王には、3人の息子がいる。その中から次代の王を一人、選ばなければならないが、誰が次代の王に相応しいのか、虹の王は見極めることが出来なかった」
「だから、みんなで決めるの……?」
「そう。皆が納得するかたちで、新しい王を選ぶために」
ルクソニアはその話を聞いて、無意識に胸元をぎゅっと握っていた。
心臓がドキドキしている。
ゴクンと唾を飲み込むと、ルクソニアははやる気持ちを抑えながら、ヨドに尋ねた。
「新しい王様は、どうやって決めるの?」
期待に満ち溢れた眼差しで、ルクソニアはヨドの言葉を待った。
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