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「そうだな……君にも関係のある話だから話しておこうか、ルクソニア嬢。知っておいて損はないだろう」
「わたしにも、関係があること?」
ルクソニアの首が、今度は反対側に傾いた。
ヨドは静かに頷くと、話し始める。
「ルクソニア嬢。
国の税収は、領地をおさめる貴族が賄っているのは、知っているかい?」
ルクソニアは得意気な顔で頷いた。
「もちろん知っているわよ、ヨド。
わたしの先生……エドガーっていうのだけれど、毎月月末になると、いつも吠えているの。殺意がわくほど税金がたかーいって!」
「ふふっ、それは大変だね」
「そうなの。毎月とっても大変なのよ」
ルクソニアはふんすと鼻息を荒くしながら、ヨドに言った。少し得意気だ。そんなルクソニアの様子を見て、ヨドは笑みをもらす。
「その大変な額の税金は、王族が決めているんだ。ゆえに国王になるには、大多数の貴族の支持が必要になる」
「じゃあ、みんなに好かれている人が王様になっているということね!」
子供らしい素直な意見を言うルクソニアに、ヨドはふわりと微笑んだ。
「ルクソニア嬢のいう通り、王とは皆に支持され、人を導く器でないといけない。
それを見極めるために、1年後、王立選を行うことになった」
「王立選?」
「新しい王様を決めるための、試験みたいなものだよ」
ルクソニアは目をぱちぱちさせ、ヨドをみた。
「王様になるにも、試験がいるのね。
どんな試験を行うの?」
「気になるかい?」
ルクソニアは力一杯頷いた。
「だって、それで次の王様が決まるのでしょう? どんな内容か、気になるわ」
ヨドは穏やかな笑みを浮かべ、試験の内容を話し始めた。
「今から約1年後に、王都で3人の王子が、この国をどうしたいか演説することになっている。各貴族はそれを聞いて、どの王子を支持するか決めなくてはいけないんだ。
もちろんルクソニア嬢の家も、例外ではないよ」
ルクソニアは不安げな表情で、ヨドに聞いた。
「支持する王子様を決めたら、どうなるの?」
「3年という期限つきではあるが、支持した貴族の領土を、王子が国王の代理として支配することになる。部分的に国の統治をさせることで、それぞれの王子の王の資質を見極める材料にするんだ。
そしてその3年間の間に、より多くの者に支持され、国益を出した王子が、次代の王に即位する」
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