エピソード1 元姫、森でイケオジと出会う。

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「こわい人なのね、黄のお妃さま……」 視線を落とすルクソニア。 「勢力としては、恐らく黄の陣営が一番多いだろう。次に多いのが赤の陣営。この二つの陣営が、拮抗(きっこう)した力を有し、争っている。 そしてあまり貴族に支持されていないのが、青の王子率いる青の陣営だ」 ルクソニアはおずおずと上目使いで、ヨドに聞いた。 「青の王子さまは、どうして貴族に支持をされていないの?」 ヨドの瞳が、悲しげに閉じられた。 「それは彼が幼いころに黄の妃の計略にはまり、王族殺しの企てをしたとして、まわりの信用を失ったからだ。青の妃がその責任を負い処刑されたが、それでも日増しに彼への風当たりは強くなっていき、遂には王宮を追い出されてしまった。まわりにいた人間もクモの子を散らすように去っていき、彼はすべてを失ってしまう。 青の王子が貴族に支持されていないのは、そういった理由だ」 ルクソニアはそれを聞き、唇をきゅっと噛むと、今にも泣き出してしまいそうな瞳でヨドを見る。ヨドは穏やかに微笑むと、ぽつりと言った。 「ルクソニア嬢。 あなたまで悲しむことはない」 ルクソニアの瞳が涙でにじんでいく。 「だって、とても悲しいのよ」 ルクソニアはポロポロと涙を落としていく。ヨドはそっとルクソニアの頬に触れると、優しく涙をぬぐった。 「彼のために涙を流してくれてありがとう、ルクソニア嬢」 ヨドは悲しげで優しい微笑みを、ルクソニアに向けた。ルクソニアの瞳が、揺れる。 「ねえヨド。 青の王子さまはいま、どうしているの?」 「田舎町の古城に居を移し、細々と暮らしているよ。……とはいえ、ただ泣き寝入りしているわけではないが」 ヨドがふと笑みをこぼす。 「どういうこと?」 潤んだ瞳で、ヨドを見つめるルクソニア。 「ただでは転ばないタイプなんだよ、彼は。自身の境遇を嘆き、絶望するようなタマじゃあない」
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