エピソード1 元姫、森でイケオジと出会う。

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「それって、今までの生活がガラッと変わるかもしれないってこと?」 ルクソニアは、ヨドのローブの裾を軽くつまみながら聞いた。 「支持する王子によっては、そうなるだろう。ルクソニア嬢は、不安だろうか」 ローブの裾を軽く引っ張りながら、ルクソニアはポツリと言う。 「……だってわたし、パパにもエドガーにも何も聞かされてなかったのよ。 それに……王子様の事だって、何も知らないもの」 革靴で地面にのの字を書いて拗ねるルクソニアに、ヨドはくすりと笑った。 「ルクソニア嬢。 王子のことについてなら、私も多少情報を提供することができるが、いかがだろうか」 それを聞いたルクソニアは、地面から顔を上げると、上目使いでヨドをみた。 「ヨドは王子様のこと、知っているの?」 じーっと観察するように見つめてくるルクソニアに、ヨドは少し困ったように微笑んだ。 「……むかし少しの間だけだが、王子の先生をしていた時がある」 ヨドの発言に、ルクソニアの表情が明るくなった。 「そうなの? ヨドは先生だったのね! でもなんだかわかる気がするわ、ヨドは色々知っているもの!」 キラキラした尊敬の眼差しでみつめてくるルクソニアに、ヨドはくすりと笑った。 「ルクソニア嬢。 私が知っているのは、常識の範囲内の知識だけだよ」 それを聞いたルクソニアはショックを受けた。 「ヨド、それだとわたし、常識を知らない子になるわ!」 ルクソニアの発言に、ヨドはひとり肩を震わせた。それを見て、ルクソニアの頬がぷくーと膨れる。 「申し訳ない、ルクソニア嬢。 ……それであなたは、王子の何が聞きたい?」 ルクソニアは難しい顔をして首を傾けた。 「どんな性格の人とか……?」 「なるほど。忌憚(きたん)なき王子評が聞きたいという訳か」 「忌憚(きたん)?」 「余計な気遣いのない、という意味だよ」 ヨドはふわりと笑った。
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