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「ゆうさん、」
「ダメ。『ゆう』って呼んで。……真人……凄くよかった。」
話を切り出そうとすると、始めからダメ出しをされた。俺の言葉を奪うように、俺の体は引き寄せられてこめかみにキスが落とされた。でも、ここで怯んでいられない。
「ゆう……どうして俺のことを知ってるんですか?」
「詳しくはね、まだ話せないんだ。」
体を起こして、俺の唇に軽くキスをすると、また体を横たえ天井を見ながら喋り始めた。
「でもね、これだけは信じて。必ずまた会いにくる。絶対に。だから……待ってて。」
そういうと俺の体は抱え込まれた。苦しくなるほど、抱きしめられた。
「待ってて……。」
「また……会えますか?」
「うん。必ず……必ず会いにくる。だから……待ってて……。」
俺は嬉しくなり、ギュッとゆうに抱きついた。細いと思っていたゆうの身体は意外と筋肉質で、腹筋も割れていた。俺は部活で筋トレしていても、これほどではない。右の胸の上の方にホクロを見つけた。そこにそっと口付けた。再び抱きしめてきたゆうの手の感触を脳に刻むように、目を閉じた。顔を両手で包まれ、またゆうからの優しいキスが落ちてきた。
「綺麗な……瞳……。」
唇が離れて目を開けた時、目の前にゆうの端正な顔があった。再び唇が落ちてきて、また目を瞑った。今度のキスは、名残を惜しむかのようになかなか離れていかなかった。
この時は分からなかった。数ヶ月後には会えると思っていた。何年も待つことになるなんて…知らなかったんだ。
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