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割れたショーウィンドウから吹き込む雨風で商品はびしょ濡れになっていた。
一枚の古い木の板を広い、葭弥はこれが風で飛ばされてガラスを割ったのだ、と思った。
「大丈夫?」
階段から顔を覗かせる真人に葭弥は手伝いを頼んだ。
肌に叩きつけるように降る雨はひどく、たった数分外に居ただけで葭弥達は雫を垂らすほどに濡れてしまった。
葭弥は脚立に昇りビニールシートの端を壁に打ち込んだ釘に紐で結びつけていた。
風でシートが煽られないように陣内も手伝ってシートを押さえてくれていた。
上側は固定し、後は下側を固定するだけだったので陣内と葭弥の二人で作業は出来た。
ガラス戸越しに心配そうに作業を見守っている幸子に真人は安心させるように笑みを浮かべてやると幸子も頷いた。
次の瞬間、掌が口を押さえ体を捕らえられた。首筋を圧迫されて気を失う真人。
「真人さん!」
幸子の叫びに葭弥と陣内も振り返った。
真人の体を引きずるようにして引っ張りドアを開けたままの車に押し込んだのは哲雄だった。
「三村!」
陣内に呼ばれて振り返った哲雄は不敵な笑みを浮かべて運転席に乗り込むと車を走らせた。
手摺りを飛び越えた葭弥は通りに出て車の行く先を見つめた。
陣内も駆け寄って来る。
「あっちはハーバーだ。行こう」
葭弥は隣のショップに車を借りる為に走った。
裏口から出てきた幸子に陣内が気付く。
「君はここに居るんだっ!」
「いいえ!行きます。父を止めるわ」
幸子の言葉に陣内は頷いたのだった。
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