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「…私、魚住が好き…!でも今まで結構アプローチしたのに…気づいてくれなかった…!昨日もせっかく魚住誘えて嬉しかったのに、話したかったのに、夢の子の事ばっかり考えて…!私のこと好きとか無さそうだったからまだ告白しなかったのに…!…悲しくて今日、行きたくなかった…」
気づかなかった…。僕は呆然とした。だって双見はみんなと仲良くて人気で…
「現実にいる子ならまだ私、頑張れた…でも、夢に出てきた子じゃ…」
「…ごめん…双見…ほんとに……。双見は人気あるのに、いっつも僕に話しかけてくれて、優しいんだなぁと思ってて…」
言い訳をするしかない…好きだと思ってたくさん話しかけてくれたのに、積極的で近寄りがたい、でも気を遣ってくれてるんだと思ってたなんて、申し訳無さすぎる…。
双見は困ったように笑った。
「ほんとに、鈍感…!」
そう言うと立ち上がり、まっすぐに僕を見た。
「あ……」
「私、魚住が好き…!ずっと好きだったの!私と…付き合ってくださいっ!」
双見が…すごく輝いて見えた。こんなに真剣に僕を見てくれて…
「僕で…いいのかな…双見、人気あるし…」
「そんなの関係ないっ!魚住が好きなの!!夢の子になんて負けないから!」
「…付き合ってからも、たまにはボーッとしてもいい…?双見だけを見るからさ…」
僕の答えを聞いた双見は、流れてた涙を拭いて笑った。
「うん!」
その瞬間、双見は僕の中で、特別に可愛い女の子になった。
「ありがとう…!これで双見と恋人同士だね…!」
「うん…!…みんなには内緒ね!」
「そうだね、ばれたら大変かな…」
二人で笑い合った。
「…予知夢…だったのかな……」
「何か言った?」
「あ、双見。なんでもないよ」
すると双見は僕を見て拗ねるように言った。
「またあの夢の女の子?あの子のことだったら私、また嫉妬しそう…」
「…あの子は双見だよ」
僕は彼女の横顔を見ながらささやいた。
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