episode 13. 落葉の一本道

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 少年は唇を曲げた。今さら自分にどんな用があるというのだ。  面倒くさい気持ちを隠そうとせず、少年は扉を開け、馬車を降りた。  すると、入れ替わるように使用人が馬車に乗り、馬車はそのまま発車した。少年を置き去りにして。  少年は周囲を見渡した。そこは森の入り口で、建物などひとつも見当たらない。曲がりくねった一本道と、紅葉に染まった木々。ただそれだけだ。 (なんだ。次の孤児院まで、連れて行ってもくれないのか)  妙に冷めた気持ちで、少年は現実を見つめていた。  遠ざかっていく馬車の後姿を、追いかけようとは思わなかった。ここで捨てられるのが自分の運命なのだろうと、あきらめの境地で(ひづめ)の音を見送る。  その馬車が丘を越えて見えなくなるまでそうしていたが、冷たくなり始めた風に肌を撫でられ、首をすくめながら体の向きを変えた。  その時、初めて気が付いた。  先ほどまでは誰もいなかった場所に、ひとりの人間が立っていることに。
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