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価値
今日の客は14才の少年だ。
学校でいじめられているから死にたいらしい。
『もう自分の生まれた意味がわからないんです。
なぜ、やつらは俺なんかをいじめてくるんだ、俺はただ平凡に生きたいんだ、ちくしょう、もう死にたい、どうせ死んだって俺には何の価値もないんだ!』
レイはいった。
『それは違いますね。価値とはあなただけのものではありません。なぜなら、価値はみんなのものですから。』
『は?』
『あなたの価値、それはもちろんあなた自身で決めることもできます。しかし、それはあなたという一点から見たあなたの価値に過ぎません。
まだあなたの回りにはあなたの価値を見る多くの視点があります。
例えば、親からの視点です。親から見たあなたの価値は多分、自分自身よりも高いでしょう。他にも兄弟や友達、教師、社会からみたあなたの価値もおそらくゼロではありません。
つまり、あなたがどう思おうが関係なく、生きていればそれだけで、あなたには価値があるということです。
人間は唯一自分の価値を自己評価できます。
その特権をうまく活用できないことは残念ですが、例え、あなたが自分の価値をゼロだといっても、生きていれば勝手にプラスなんですよ』
『きれいごといってんじゃねえ!』
彼は出ていった。
『・・・・』
彼女はソクラテスの孫、レイ。
今日もそれっぽいことを言って、相手は納得したり、しなかったり。
彼女は本当にソクラテスの孫なのだろうか。
続く
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