第13話 秀才の考察

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18時。 デイリーギフトが届く。毎度の事拍子抜けするイベントではあったが、今日は違った。 「おー!すげー!本物かこれ?」 真っ先に飛びついたのはあの男、多田龍馬だった。この男とは自己紹介すらしていないのでまだ誰も名前を知らない。 「こいつでお前を標的にして遊ぼうかな?」 男はボウガンを太一に向ける。 「ヒッ!冗談はよしてくれ!」 太一が慌てて近くに居たゆきなの後ろに隠れる。この男ならホントにやりかねない。皆そう思った。 「ははははっ、女を盾にするのかよ?お前らしいや!冗談だよ。」 男はボウガンを手にし、実にに上機嫌そうだった。 「そ、そういえば、貴方お名前は?まだ自己紹介済んでなかったですよね。」 ゆきなが場の空気を変えようと男に尋ねる。 「あぁ?自己紹介だぁ?合コンじゃねえんだぞ。」 男が面倒くさそうに口を開く。 「まあいいか。多田だ。」 ボウガンがよほど気に入ったのか、あっさりと名を名乗る。 「た、多田さん、ボウガン下ろしてもらえませんか?こ、怖いです。」 ゆきなの体が多田の持ち構えるボウガンを見て強張る。 「あー、悪い悪い、せっかくだからコレ貰っとくぜ。」 他メンバーの許可も取らず多田は自分の部屋にボウガンを持ち帰った。 「失敗したな。多田だけには渡してはならなかった。あの男はキケンな匂いがする。」 西山が多田にボウガンを渡してしまった事を後悔する。それに関しては皆同意見だった。 「まあ、仕方ないですね。無理に取り返したら何かされそうですし・・・。」 山田が西山を庇う。皆が不安を感じ落胆している中、突然ピーッ、ピーッ、ピーッと音がなる。サチュレーションが開き中から紙が出てくる。 「今日のリクエストは何にしましょうか?」 一応聞いてみたが聞くまでもなかった。 「もう一度、食材にチャレンジしますね。」 反論する者は一人も居なかった。祐二は「食材」と紙に書き、サチュレーションの中に入れた。もう丸一日誰も食べ物を口にしていない。自ずとフラストレーションが溜まる。明日必ずしも食料が届く保証はどこにも無い。
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