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「ねぇ、これ、どうするの??」
死んだ猪をさとこが恐々と覗き込む。
「何言ってやがる。待望の肉だぞ。食料にするに決まってんだろ。」
多田が猪に刺さった矢を抜く。
「た、食べるんだ・・・。」
さとこが半信半疑で皆の顔を見る。
「確かに、現状を考えるとこの肉はものすごく有難い。」
山田が命の恵みに感謝する。
「さて、そうと決まればさっさと解体しないとな。肉は血抜きが命だと聞いた事がある。」
さっそく西山が立ち上がる。
「すごい!西山さん!猪捌けるんですか!?」
ゆきなが感動する。
「いや、出来ない。というよりもやった事がない。ここは裕二君に任せる。」
突然の白羽の矢に裕二が驚く。
「いや、ちょっと待って下さい!僕も猪を捌いた経験なんて無いですよ!魚と鶏を捌いた事があるくらいですよ!」
「鶏?上出来だ!その経験を生かしてみてくれ!キッチンから包丁を持ってきてくれ!」
西山が他メンバーに指示を出す。
「さあ。遠慮なくやってくれ。」
西山が裕二を促す。
「もう、失敗しても文句言わないでくださいよ。」
裕二が覚悟を決めた。
「まずは血抜きか。首を切ればいいのかな?」
裕二が猪の首に包丁を当てる。
「ちょっと待って!ここで捌く気!?」
麗華が裕二の手を止める。
「そうか。血が流れるもんな。じゃあバスルーム・・・」
「「「「それだけは嫌!」」」」
女子4人の意見が一致する。結局話し合った結果、大きなダストボックスのある部屋で解体する事になった。リビングにある厚めの絨毯を敷き、その上で猪を捌き、食べられそうにない毛皮や骨等を絨毯ごとダストボックスへと捨てる。後は使用後のバスタオル等を使って床を拭き、それも捨てるといった段取りだ。太一以外の男が総出で猪を移動させる。
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