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「さーちゃん、もう大丈夫だよ。」
裕二が話しかけるとさとこは深く頷いた。
ダストボックスのある部屋に来た太一は一瞬目を疑った。血まみれの絨毯の上に血まみれの大きな猪。首の切り傷からは流血しており、腹は掻っ捌かれ内臓が飛び出している。太一はここに来て初めて先ほど西山が説明した今日の出来事が真実だったと理解した。
「こ、これ、食べるのか!?」
太一が確認する。
「喜んでください。ここに来て肉大量ゲットですよ。」
裕二はそう言うが、太一はこの壮絶な現場を見て素直にはまだ喜べなかった。
ここから2人は四苦八苦する。大量の臓物の処理、毛皮の剥ぎ取り、骨の分断、身の確保。結局キッチンの包丁では無理が有り、話し合った結果、とにかく食べられる肉を少しでも多くそぎ落とすという方向に決まった。この際臭みや形はどうでもいい。とにかく火を通せば食べられるくらいの肉片になれば良い。そんな感じで2人は作業を続けた。
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