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第18話 後処理
「とりあえずこのスタンガンはどうするんだ?」
多田は元々持っていたボウガンが無くなった為、どうしてもこのスタンガンを手に入れたかった。
「そうですね。ゆきなさんに持っていただきましょうか。」
「おい、ちょっと待て!コイツは包丁を持っているんだぞ。」
西山の提案に多田が待ったをかける。
「この包丁は初めからキッチンにあった物でデイリーギフトではありません。皆がデイリーギフトを一つずつ持つ中、ゆきなさんだけは辞退して手に入れてませんから。ここはゆきなさんに一度渡すのが平等でしょう。」
西山が穏やかな口調で説明する。
「それに・・・あなたの先程の暴動も見逃すわけにはいきませんから・・・。」
今度は凍る様な冷たい視線を多田に送る。さすがの多田もこの状況で反論は出来なかった。ロープしか持っていなく、ほぼ丸腰な自分に比べ、他の者は皆武器を持っている。ここは大人しく西山の言う事を聞く事にした。
「で、こちらの方はどうするの?」
麗華が皆に問いかける。麗華が指差した先には無残な大男の死体があった。
「もう・・・ダストボックスに捨てるしか無いですよね。ここには置いておけないし・・・。」
美奈子の発言に皆が頷く。西山1人を除いて。
「いや・・・・・・冷蔵庫は今ほぼ空だよな?何の為にここにノコギリが有ると思うんだ?」
西山の発言に皆が目を見開く。西山が言わんとしている事は皆にもすぐに理解できた。
「出来る限り、コレに手を付けなくても良い様に早目にここから脱出する方法を考えるんだ。」
そう言うなり西山は大男の手足をノコギリで切り離し始めた。足首で一回、膝で一回、太ももの付け根で一回切り離す。腕も同様にした。その光景を目の当たりにしたさとこが何度も床に吐く。吐くといっても、もう出て来る物は胃液しか無かった。西山はその流れで大男の腹にノコギリを当てた。が、そこで躊躇する。腕が動かない。腹を切った後の光景を思い浮かべると、どうしても体が硬直してしまう。
「ごめん・・・ここまでしか出来ない。後はダストボックスに入れよう。」
西山がノコギリから手を離す。咎める者は誰も居ない。
大男の胴体と頭部を大き目の布に包む。西山と山田2人でダストボックスのある部屋へと向かう。
「ちょっと待ってください。私も行きます。」
ゆきなも2人の後を追う。
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