ストーカーは突然に

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小さい頃から知っていた。俺の好きになる相手は同性だけだった。なのに、いつも自分の周りにいるのは女ばかりで。大抵の男は俺を毛嫌いした。 それでも俺が好きになるのは、自分を好きだと言ってくれる女じゃない。 おかしい、ってわかってる。だからこそなんとか女を好きになろうと思って、都合が良さそうな何人かの女とセックスをしてみた。できない事は無い。でも気付かされた。俺は抱きたいんじゃなくて、抱かれたいんだって。 いつしか俺は、自分を嫌う同性の冷たい視線にも慣れて、むしろ自分を射抜く鋭い眼光にすら快感を覚えるようになった。 逆に、向けられるあからさまな下心を含んだ女の好意に吐き気がするようになった。 結城さんは優しい。だけど時々、心底軽蔑したような目で俺を見る。ジムに通う女性会員に囲まれてる時、女性スタッフに言い寄られてるのを見られた時・・・女好きの彼にとっては自分以外の男がチヤホヤされてるのが不快なんだろう。 結城さんの優しさの裏には、俺に対する嫉妬と嫌悪が隠れてる。そこが好きだ。彼に、抱かれてみたい、と思うほどに。 あ~・・・、俺、マジで歪んでるわ。クローゼットゲイを拗らせに拗らせまくって、マトモな恋愛のひとつもしたことないのに脳内性癖ばっか捻れて、自分でも もうよくわかんねぇ~・・・
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