ストーカーは突然に

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ビタッ と窓に何かがぶつかる音がして、俺はハッと我に返る。 同時に快感から解放されて、 「何の音?」 立ち上がった奏汰がカーテンを開けて窓の外を見る。 「なんか窓、汚れてる。鳥でもぶつかったのかな?」 「知ら・・・ね」 そんなのどうでもいい。とにかくイカなくて良かった。・・・ちょっとだけイッちゃったんだけど。 ぐったりとベッドに体を預ける俺を放置して、奏汰は窓を開けベランダに出る。 が、なかなか室内に入って来ない。 「おい、なんかいんの? 鳥?」 声をかけるとようやく戻って来た奏汰が、指で摘んだ薄い膜のようなものを俺に見せる。 「これ。中は水?みたいだけど・・・」 筒状の薄いピンクの膜。その中に入った透明の液体が漏れないように口を結んである。 「え、コレ、こんどーむ・・・?」 「だよね。僕もしばらく考えてたけど、それ以外に見えないよね」 「は!? えっ!? なにキッモ!!」 窓にあたったのはこれなのか? だとしたら誰かが故意に投げたって事になる。 あまりの不快感で吐き気がする。中身が精液じゃないのがまだマシなレベルなだけで、気持ち悪いのには変わりない。 「なんでこんなとこに。蓮くん、何してたの」 「イヤ、どう考えても俺じゃねーだろ! 外誰もいなかったのかよ!?」 「見てくる」 って、ベランダ出てたっぷり時間かけて何してたんだこいつ。アレがコンドームかどうかじっくり確かめてただけか? 普通まわり見回すとかすんだろ。 間の抜けた奏汰に呆れる俺。でもおかげで不快感が少し和らぐ。
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