蓮くんは僕が護る

2/22

785人が本棚に入れています
本棚に追加
/377ページ
9a38a0b1-6dd5-46e0-b627-f6ba210b90c3 ーーーーーーーー ふう・・・ 『蓮くん開発日誌』を閉じた僕は大きく息を吐いてベッドに寝転がる。 蓮くんの部屋の窓にコンドーム水風船が投げつけられた後、何となくエロな雰囲気に持ち込めなくて、何となくだけど元気が無いように見えた彼と他愛もない話をして。 昼はデリバリーのピザをご馳走になって、「胃がもたれたから、今日は晩メシいらないっておばちゃんに言っといて」と言った蓮くんを塩田家に残し帰って来てしまった。 「ただの嫌がらせだから気にしてない」って蓮くんは言ってたけど・・・普通の水風船ならまだしも、避妊具を使って作った物が家に投げつけられるなんて、嫌がらせにしてはかなり悪質だと思うんだけど。 いくら彼が男でも、何かあった時あんな細い手足で反撃できるとは考えられない。まあ、相手が女性ならなんとかなるか・・・。 体を起こしカーテンを開け、お向かいの塩田家を眺める。蓮くんの部屋は僕の部屋の窓からは見えない。道路を挟んで住宅街の角に立つ互いの家。蓮くんの部屋は僕の部屋に面した道路と交差する道路に面した2階にある。 平日なら通勤通学で交通量もそこそこある道路だ。犯人は日曜の朝、ここの道が閑散となるのを知っている人物・・・ 生活圏が同じ、もしくは近い。でなければ蓮くんを監視つまりストーキングしている、という事になる。 考えても思い浮かぶ人物なんていない。だって蓮くんと僕の関係は浅いから。 今の時点では何もできない自分がもどかしい。でも・・・ 机の上の返しそびれた塩田家の合鍵を握り締め、僕は部屋を出る。
/377ページ

最初のコメントを投稿しよう!

785人が本棚に入れています
本棚に追加