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ふう・・・
『蓮くん開発日誌』を閉じた僕は大きく息を吐いてベッドに寝転がる。
蓮くんの部屋の窓にコンドーム水風船が投げつけられた後、何となくエロな雰囲気に持ち込めなくて、何となくだけど元気が無いように見えた彼と他愛もない話をして。
昼はデリバリーのピザをご馳走になって、「胃がもたれたから、今日は晩メシいらないっておばちゃんに言っといて」と言った蓮くんを塩田家に残し帰って来てしまった。
「ただの嫌がらせだから気にしてない」って蓮くんは言ってたけど・・・普通の水風船ならまだしも、避妊具を使って作った物が家に投げつけられるなんて、嫌がらせにしてはかなり悪質だと思うんだけど。
いくら彼が男でも、何かあった時あんな細い手足で反撃できるとは考えられない。まあ、相手が女性ならなんとかなるか・・・。
体を起こしカーテンを開け、お向かいの塩田家を眺める。蓮くんの部屋は僕の部屋の窓からは見えない。道路を挟んで住宅街の角に立つ互いの家。蓮くんの部屋は僕の部屋に面した道路と交差する道路に面した2階にある。
平日なら通勤通学で交通量もそこそこある道路だ。犯人は日曜の朝、ここの道が閑散となるのを知っている人物・・・
生活圏が同じ、もしくは近い。でなければ蓮くんを監視つまりストーキングしている、という事になる。
考えても思い浮かぶ人物なんていない。だって蓮くんと僕の関係は浅いから。
今の時点では何もできない自分がもどかしい。でも・・・
机の上の返しそびれた塩田家の合鍵を握り締め、僕は部屋を出る。
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