蓮くんは僕が護る

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自宅の玄関ドアを開けるとすぐに、新聞を取りに出ていたらしき母と鉢合う。 「あれっ、あんたどこ行ってたの? もしかしてお向いさん?」 「うん。これから暫く蓮くんちに泊まるから」 って僕が勝手に決めただけなんだけど。 「そうなの? ご迷惑じゃないの?」 「知らない。姉ちゃんもよく泊まりに行ってたし大丈夫なんじゃない?」 「そんなの子供の頃の話でしょ」 「僕、蓮くんから子供扱いされてるから平気だよ」 「もーあんたは ほんっとに・・・大人しいくせに図々しいとこあるんだから。まあ仲良しならそれでいいけど。ほら、ちゃっちゃとご飯食べちゃいなさいよー」 僕がお向かいさんに泊まりに行くのを特に気にするでもない母。同性だし、気するはずもないか。 でもね、母さんが思ってるような清い関係じゃないんだよ僕たち。ごめん、あなたが普通だと思ってる息子は今、衆道へと向かって突き進んでます。 父が亡くなってから女手ひとつで姉と僕を育ててくれた母に罪悪感が無いわけじゃない。だからって僕は、自分に嘘をついて生きるのは嫌なんだ。
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