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拗ねる僕に向けられた無防備な背中は、触って欲しいと言ってるみたいだ。
・・・って都合良く解釈してしまう前に、ベッドに横になり僕は蓮くんを抱きしめる。
「ストーカーなのかな。大丈夫?怖くない?」
「・・・別に。気持ちわりーなとは思うけど」
「蓮くんが寝てる間に刺されちゃわないように、僕がバックシールドになってあげるから安心して」
「縁起でもねぇこと言ってんじゃねっつの。つかお前のストーカーなんじゃねーの? 帰ってくれた方が俺、安全な気がすんだけど」
「有り得ないよ僕をストーキングするなんて。ほら昔あったじゃん、家の前で蓮くんを取り合って女の子が大乱闘した事件。蓮くんって過激派女子に好かれちゃうから心配だよ」
「黒歴史掘り返すなら帰れ」
「嫌だ! 絶対帰らない! 蓮くんは僕が護るんだから!」
力いっぱい抱きつくと、蓮くんは呻き声を上げて僕の腕をタップする。
「おえっ、わか、わかったから! お前が危うくしてんだよ俺の命を! 大人しく寝ろよもー・・・」
「好きだよ蓮くん♡ おやすみなさい」
「・・・・・・」
返事は無い。今はそれでもいい。
蓮くんにこうしていることを許されてるだけで十分幸せだ。『今は』だけど。
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