恋の障害

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産まれた時から女所帯で、恋愛対象は女の子 ベータだったら他に沢山女の子が居るし、恋愛がしやすかったかもしれない でも私はオメガ アルファ、なんて狭い門からさらにその中でも少ない女の子に好かれるなんて無理 男の子はどうにも苦手で、唯一自分から話しかけられたのが江口君 江口君もオメガだという事で少し仲良くなれた 1年生の時勇気を出して接客に立候補して良かった 今じゃ江口君以外の男の子とも普通に話せる それに 「奏音」 かっこよくて私の番になってくれる子に出会えた 初めは普通の友達として、それから段々親友と呼べる存在に 恋愛対象が女の子である事を話しても、中学生の時の子達みたいに引かれることは無かった むしろ、『話してくれてありがとう』と感謝されたくらいで 万莉は本当に優しくてかっこよくて、でも可愛い私の番 今思えば、1年生の文化祭の時からもう惹かれていたのかもしれない 親友っていう関係を崩したくなくて、ずっと隠してた 隠してたつもりだったんだけどね 万莉にはとっくにバレちゃってた 江口君を家まで送って及川君達と別れて、その帰り道に『奏音って、好きな人居るでしょ』って その時はほんとにびっくりしちゃって、え、なんで?って聞き返しちゃったくらいだもん そしたら私の顔を見て微笑んで、『私と話してる時、私と一緒の顔してる気がするから』って言ってさ 初めのうちは理解できなかったんだけど、段々理解できてきて顔が真っ赤になっちゃった バレちゃったって思って両頬を手で覆って俯いたら、そのまま抱き締められて 『好きだよ』って 腰抜けちゃって笑われたけど、嬉しそうな恥ずかしそうな、そんななんとも言えない笑顔は初めて見たから その日から恋人として付き合うことになって、江口君達が番った日の翌日に私達も番った 万莉のご両親は付き合い始めた日から番う事を了承してくれてたんだけど、私の親が許してくれなくて 『相手の子には悪いけど、アルファはオメガを捨てる事が出来る。捨てたとしてもまた新しいオメガと番う事が出来るから』って だから何回も万莉が私の家に来て、必死に私の親と仲良くなろうとしてくれてた 許可してくれたひとつの決め手が私の妹である悠歌だった 『あ、笹乃さんじゃないですか。うちでどうしたんですか?……はぁ…母さん、笹乃さんは番を捨てたりするような酷い人じゃないけど』 これまで私はあまり悠歌と話す事は無かったんだけど、この日からよく話すようになった 悠歌の今の好きな人が及川君だって事とか、樂ちゃんが最近中学の時の後輩からモテ始めてるとか色々 それで、その悠歌の言葉のおかげでようやく番うことが出来た 多分、アルファとかの3つの属性が無くて、男女だけの性別の世界でも私は万莉を好きになってる 女の子として産まれてきて、万莉が女の子で 男の子はまだ少し怖いと思ったりするけど、今は幸せ
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