ともだち

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side江口 ホテルで朝を迎えたあの日から1ヶ月 あれから朔が俺に遠慮することは無くて、お互いの都合が合えばどちらかの家に泊まりに行くことが増えた 「一気に進展しすぎじゃね?」 「そう?」 「向こうの親御さんに遠慮とかしないの?」 「…そもそも、もうお互いの親が仲良いから」 「あぁ…公認ね」 俺の首元を見てから少し顔を赤くして呆れ顔をする凜旺 奏音も困ったように首を傾げた ガサガサと棚をあさって絆創膏を渡してきた 「キスマ付いてる」 「ありがと。凜旺は気にしないんだ」 「へ?」 「付いてるけど」 「うっそマジで?」 また顔を赤くして凜旺が鏡を見に行った 今は奏音の家で夏休みにちょっとしたプレゼントをしようかと話をしている 服をずらした時に凜旺の鎖骨のところにあった引っ掻き傷のような跡は何も聞かないようにした 「あんの馬鹿……」 「ラブラブでいいじゃん。ね?華澄」 「な。人の事言えねえよ」 「すいませんでした」 机に手をついて頭を下げる凜旺の耳は、遠くから見ても分かるくらい真っ赤に染まっている よし、と奏音が腕まくりをした 「どうする?お互いに何が好みとか分かる?」 「朔は甘いのが好き。めっちゃ食べる」 「圭吾は特に…なんでも食べるんじゃね?」 「うーん…万莉もそうなんだよね…漠然とし過ぎてよく分かんない」 「お姉ちゃんと先輩方ー。ジュースとお菓子ですよー」 奏音の妹の悠歌ちゃんが部屋に入ってきた 正直悠歌ちゃんは苦手だったけど、今はそうでも無い 「ほんっと、お互いの番にメロメロですね」 「え?聞いてたの?」 「ふふふ。良いなー、私も恋人欲しいー」 「聞いてたんだ」 頬に手を当ててうっとりとどこかを見る悠歌ちゃんに、奏音が苦笑する そういえば、と正気に戻った悠歌ちゃんがこちらを見た 「江口さんって、どうして朔さんを好きになったんですか?」 「え…っと」 「何かきっかけが?」 「あった、はあったけど…」 チラッと凜旺の方を見てしまう 何?というように首を傾げた凜旺だけど、1年の時に一時期体調が悪くなっていた理由はなんとなく分かる だって、そういうことに巻き込まれるのは圧倒的にオメガが多いから まだ凜旺から詳しくは聞いていないけど、奏音も察しているようだった 今はトラウマをほぼ克服したと言っても良いくらいだろうけど、思い出すのは一瞬 どれがトリガーになるかは誰にも分からない 「助けてくれたのが朔で…」 「助けた?何からですか?」 「ア、アルファから……?」 「…じゃあ一目惚れですか?」 「うーん……多分そうなる」 いい事聞いちゃった!と嬉しそうに立ち上がった悠歌ちゃんが礼を言ってから部屋を出ていった
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