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「助けてくれたってどういう事?」
「あー……もうちょっとで犯されそうになってたから…」
「そ、っか」
あぁ、やっぱり
急に声のトーンを低くして一点を見つめ始めた凜旺
震える息を吐き出して腕をぎゅっと掴んでいる
スマホを取り出して圭吾に連絡する
爪で腕に傷が付かないように奏音がクッションを渡した
番の匂いがしなくて不安なのか、凜旺がぽろぽろと涙を流し始める
『はいよー?どした?』
「奏音の家来て。凜旺が」
『了解』
静かに泣いている凜旺の頭を撫でながら圭吾が来るのを待つ
数分すると、凜旺が顔を上げて部屋を出た
どこに行くのかと追いかけると家のチャイムが鳴った
凜旺が玄関の鍵を開けて、玄関から中に入ってきた人に抱きついた
「うお、っと。お邪魔しまーす」
「あれっ?凜旺泣いてる?」
「実旺さんも来たんですか?」
「おひさー」
「実旺さん!」
「おぉ悠歌ちゃーん」
凜旺と圭吾の2人は取り敢えずそっとしておく事にして、4人でリビングに入った
少し話をしていると落ち着いたらしい凜旺と圭吾が入ってきた
「ごめん」
「何が?」
きゅ、と唇を結んだ凜旺が俯いてしまった
でもすぐに顔を上げて実旺さんにアイコンタクトをする
頷いた実旺さんが悠歌ちゃんを連れてどこかに遊びに行ってしまった
震える手で横にいる圭吾の手を握った凜旺が、ぽつぽつとトラウマの事について話してくれた
「えと、だから……月明かりとか、暗いとこがまだ駄目で…」
「寝る時はどうしてるの?」
「それは、圭吾と一緒に…」
「俺が凜旺ん所に行くか、凜旺が俺ん所に来るかになってんのよ」
「そうなんだ」
立ち上がった奏音が凜旺の頭を撫でた
ぽかんとしている凜旺の顔を見て優しく微笑んだ奏音
「話してくれてありがと」
「う…ん」
赤くなった目を隠すように凜旺が圭吾の肩に顔を埋めて、規則的に肩を少し揺らしている
友達だから話せない事もあると理解して、話してくれるまで待とうと奏音と話していた
やっと話してくれて、2人で抱え込んでいた事を少しでも軽くしてくれたと思う
今、物凄く朔に抱きつきたい
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