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新たな出会い
4月を迎え、季節は春になり、桜が咲く。
暖かい陽気が僕の少し冷えていた心を温かくする。
マンションに引っ越しし、これからは独り暮らしだ。
楽しみな大学生活が始まる。
サークル活動や、友達作りに、アルバイトやコンパが待っている。
後は……。
……じゃあね。庚君。貴方と一緒に居ることが出来て良かったわ。
そう。後は恋人作り……かな。
そして僕はマンションからほど近い道を散歩した。
気持ちがいいな。春らしい心地よさだ。
しばらく歩いていると川が見えて来た。
土手沿いに歩いていたら、白い帽子で白いワンピースを着た一人の女子が河川敷の辺りで立っていた。綺麗だった。
一体誰だろうか? こんな綺麗な子がいるなんて。
僕は見惚れてしまった。しかし彼女と接点がないと思ったので、そのまま帰った。
そして大学の入学式の日になり、スーツ姿で会場に向かい、入学式に出た。
これで僕は歴とした大学生だ。
そしてサークルに入り、中田という友達と言った悪友が出来た。
彼はこの県の出身で、高校を出て、そのまま地元の大学に入ったという感じだ。
「よう、明石。これからゲーセンやカラオケにでも行かないか?」
「おっ、行こう行こう」
彼はここの周辺の事は詳しいから、色んな所を教えてくれる。
僕は彼の後によく付いて回った。
「明石。そろそろ大人の階段も登らないか?」
「えっ、それは……」
「俺達もう18歳だ。色々知っても良い年齢だ。行こうぜ」
「まぁ、そうだな。分かった。行こう」
僕は高校生では出来なかった様々なことを中田と挑戦して、色んなことを知っていった。
そしてこの場所にも慣れ始め、中田とよく色んな所に行った。クラブや飲み屋街等だ。それにはやはりお金がかかって仕方がない。
だから僕は資金を得る為にコンビニでアルバイトを始めた。
最初は上手くいかなかったこともあったが、段々と分かってきた。
それから数週間経ち、多少はここでの仕事のイロハが分かってきた頃、新人が入ってきた。
「おい、明石」
「はい」
「お前も少しは仕事慣れてきただろ?」
「はい、まぁ多少は」
「新人君なんだが、時間が合うのが君しかいない。だから指導頼むよ」
「えっ!? でも」
「大学は君と同じだから親近感もあると思うし」
「しかし……」
「大丈夫だ。分からなければ連絡してくれ」
「はぁ」
ここに来た新人はかなりの美人さんだった。
「羽田優と言います。宜しくお願いします」
そして思い出した。入学前に河川敷でいたその子だった。
羽田優。彼女との出会いで僕の人生は一変する。
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