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「そうであるならば、手出しは無用。せいぜい四十九日を励んでもらわねば」
「ですが、その者が獄卒の手にかかれば、ヒロノのこれまでの修行はどうなるのですか? その者が地獄に堕ちればすべてて無駄ということに……」
仏守護童子はまだ不安げな顔をしている。
長く柔らかな頭髪に守られた仏守護童子の頭をそっと撫で、秦広王は優しく言い聞かせた。
「大丈夫。その魂に対しては無駄な努力となってしまうかもしれないが、ヒロノの積んだ修行が消えるわけではない。何より、それは釈迦の印付きなのだろう? 誰よりも釈迦を崇拝するヒロノなら、無事やり遂げるであろう」
「そうでしょうか……獄卒はかなりの手練れと聞きますが」
「なに、その時はそのとき。その魂の徳が足りなかったと諦めるよりあるまい」
「ではせめて、その魂が滞りなく旅路を進めるよう、書類を早めに作っておいて差し上げましょう」
「そうだなぁ。それくらいは融通しても罰は当たらんのぅ」
「ではわたくし、その亡者の資料を急ぎ集めてまいります!」
「うむ。頼んだぞ、法守護」
「かしこまりぃ!」
元気良く叫んだ法守護童子が勢いよく初七日の間を飛び出していく。
それは、話題の渦中であったヒロノと泰範が到着する数刻のことであった。
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