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♯5 ワルツ〝記念日〟
ここに監禁されてから、どれくらい経ったのだろう。
「…ん…」
桜也はベッドの上で目を覚ました。
ごしごし目をこすり、ゆっくり体を起こす。
まだ真雪は帰っていない。
ここにいるのは、桜也ただ一人だ。
ベッドに吊り下げられたレースのカーテンを開ける。
いつもまっさきに目に入るのは、グランドピアノ。ピアノから目を逸らし、部屋を見渡す。
この部屋にはなんでも揃っている。
漫画がぎっしり詰まった本棚。ゲーム機と、大量のゲームソフト。
動画配信サービスと繋がり、あらゆる映画やドラマが見られる、32インチの薄型テレビ。
冷蔵庫には、真雪が作った軽食が入っている。
空調によって心地よい温度が保たれ、暑さも寒さも感じない。桜也が快適に過ごせるようにと、真雪は手を尽くす。
快適で閉鎖的な部屋の中心で、桜也はため息をつく。
「こんなにいろいろ用意するんなら、服くらい渡してくれればいいのに…」
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