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今日の夕食は、いつにも増して豪華だった。
彩りあざやかなミモザサラダ。
温かいアヒージョ。
メインはやわらかいローストビーフ。
食後にはショートケーキ。
驚くべきことに、すべて真雪の手作りらしい。
真雪にしては珍しく、今日はまだ桜也の体に触れようとしてこない。
おかげで、桜也は料理を堪能することができた。
「なんかいい事でもあったのか?」
問いかけるが、真雪は答えない。上機嫌でにこにこしながら、桜也がケーキを食べる様子をながめているだけだ。ただ、その視線は妙に熱っぽい。
「つーか、おまえは食わねえのかよ」
「食べるよ。もちろん」
手が止まってしまった桜也のかわりに、ケーキをさしたフォークを桜也の口に運んでから、真雪は桜也を持ち上げた。いわゆる“お姫様抱っこ”というやつだ。
「ちょ…なにすんだよ、真雪!」
ベッドに運ばれ、あおむけに横たえさせられる。
真雪は子どものような無邪気な顔で、冷蔵庫から生クリームが詰まった絞り袋を取り出していた。
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