593人が本棚に入れています
本棚に追加
弾力のある真雪の棒が、桜也の口内に入ってくる。
さすがに全部を口に含む気にはなれず、先端だけを咥え、しゃぶってみる。子どもの頃、駄菓子屋にあった、三角形の棒つき飴のように。
「ん…」
(甘い。けど甘すぎないし、牛乳の味が濃厚でおいしい…)
甘さの中に、時折、苦みが混じる。これが真雪の味なのだろうか。
くちゅくちゅと味わっていると、感涙にむせぶ真雪の声がした。
「まさか桜也が僕のをしゃぶってくれる日が来るなんて…! ああ、今日は正真正銘の記念日だ…!」
(記念日?)
いぶかしげな視線を送ると、真雪はうっとりした笑顔で告げた。
「今日はね、桜也がここに来てくれてから、ちょうど一か月の記念日なんだよ」
「………⁉」
桜也は一瞬ほうけてから、あわてて真雪のものから口を離した。
最初のコメントを投稿しよう!