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あごの小さいニキビが治らない。
そう友人の美月に話すと、「早く寝なよ」という至極真っ当なことを言われた。
「そうだけど、うん、そうなんだけど…」
「肌大切にしなよー。あかり昨日何時に寝たの?」
「…1時」
遅いことは、自覚している。
「遅いわ、治す気ないでしょ!肌荒れるよ!」
「い、いざとなったらコンシーラーで隠すもん」
「余計悪化するよ、それ」
彼氏に幻滅されるよ、頑張りなよと美月が笑う。
苦笑する美月に「今夜こそと思っても、いざ夜になるとその気が失せるんだよね」と言うと、何それと返された。
その日の夜、12時頃。
今日もまたスマホの着信音が鳴った。
『もしもし、あかりちゃん?…ごめん、また電話しちゃった』
「ううん、全然大丈夫!」
『本当?…そっか、良かった』
ダメだ。この声を聞いてしまうと、早く寝なきゃという気持ちが溶けて無くなってしまう。
彼のためにニキビを治したいのに、彼のせいでニキビが治らない。
今日も寝るの遅くなるな、と思いながら彼の言葉に耳を傾けた。
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