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「それで軽音部か。でもどうするの? ないなら作るってパターンもあると思うけど」
「おー、創部か! あれ、でも人数集めなあかんよな?」
「そりゃたいてい五人以上とかそういうのやろ」
みなこに同調するように奏が頷いた。詳しい校則を知らないが、部活動結成に人数が必要であることはどこの学校も同じだろう。それを聞いた七海は、うなだれながら深く息を吐いた。
「人集めかー。うちらの場合、ボーカルも誘わなあかんねんで」
「ボーカル? どっちかがやるんじゃないの?」
「まさかぁ。うちはともかくみなこは、めっちゃ音痴やから」
「めっちゃとはなんや。そりゃ、うまくはないけど」
「小学校の合唱コンクールん時とか外しまくって、やばかったやん」
そのことはやめてくれ、とみなこは七海の口元に手を添える。自分の技量がわかっていなかった頃の苦い思い出なのだ。今では考えられないほど、七海のように積極的だったみなこは大声で歌を歌った。その音が外れているとはつゆ知らず。そのせいなのか、いつの間にかあまり前には出ない性格へと変わっていった。
「今は、あの頃より少しはマシやから」
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