3話「鶯の森」

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 確かに中学時代の航平は、勉強に関しては真面目に取り組んでいた方だろう。宝塚南だって、進学校というわけではないが、遊び呆けていた生徒が来られるほど簡単な高校ではないはずだ。だけど、サッカー部だった航平がマネージャーの女の子と良く遊びに行っていたことをみなこは知っている。  もちろん、それがどうだというわけではない。どうだというわけではないが、妙に面白くないのだ。その噂を聞くたびに、もやもやとした煙たいものが胸を曇らせる。 「俺、不良ではないやろ」 「不良ではないかもしれんけどさ。……あー、クラスの可愛い子と梅田にでも遊びに行けばいんじゃないですか?」 「いや、お前なぁ……。人をまるで遊び人みたいに」 「はいはい。どうせ、またサッカー部のマネージャーと付き合うんやろ」 「は? 別に付き合ってへんし」 「良く遊びに行ってたんやん」 「あれは、部活の集まりでやな。別に二人っきりで遊んでたわけとちゃうし」 「あーダブルデートでもトリプルデートでもすればええやん」 「やからちゃうって」
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