78人が本棚に入れています
本棚に追加
確かに中学時代の航平は、勉強に関しては真面目に取り組んでいた方だろう。宝塚南だって、進学校というわけではないが、遊び呆けていた生徒が来られるほど簡単な高校ではないはずだ。だけど、サッカー部だった航平がマネージャーの女の子と良く遊びに行っていたことをみなこは知っている。
もちろん、それがどうだというわけではない。どうだというわけではないが、妙に面白くないのだ。その噂を聞くたびに、もやもやとした煙たいものが胸を曇らせる。
「俺、不良ではないやろ」
「不良ではないかもしれんけどさ。……あー、クラスの可愛い子と梅田にでも遊びに行けばいんじゃないですか?」
「いや、お前なぁ……。人をまるで遊び人みたいに」
「はいはい。どうせ、またサッカー部のマネージャーと付き合うんやろ」
「は? 別に付き合ってへんし」
「良く遊びに行ってたんやん」
「あれは、部活の集まりでやな。別に二人っきりで遊んでたわけとちゃうし」
「あーダブルデートでもトリプルデートでもすればええやん」
「やからちゃうって」
最初のコメントを投稿しよう!