4話「仮入部」

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4話「仮入部」

 音楽室準備室の横に設けられたスタジオ型の部屋が大小二つ。そこがジャズ研の部室だ。廊下では、同じフロアの音楽室から吹奏楽部の軽快な演奏が聞こえていたが、有孔ボードに囲まれた部室に入ってからはその音は気にならなくなった。  新学期が始まって一週間が経ち、部活動の仮入部が始まっていた。一応、他の部活も見学してみたのだけど、奏と約束したこともありジャズ研に入ることはすでに決めている。航平も入ろうとしていることは少し気になるが、航平ごときのために誓いを破るわけにはいかない。この日、ジャズ研の見学に来ていたのは、みなこたちを除くと二人の女子生徒だけだった。 「今日は五人だけみたいやな?」 「そうみたいやね」  身長に差のある女子二人が互いを見合わせる。ちなみに宝塚南高校は上履きの色で学年わけされていて、緑色の彼女たちは三年生だ。 「はい。それじゃ、本日は宝塚南高校ジャズ研究会の見学に来てくださりありがとうございます。私が部長の織辺(おりべ)知子(ともこ)です」
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