8話「水着」

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8話「水着」

「赤がええかなー、オレンジがええかなー」 「赤は派手過ぎちゃう?」  水着を交互に、身体に当てる七海にめぐの首がコクリと傾く。 「そう? うちには似合ってると思うけど?」 「なら、それにしいや」  お盆休みも後半、残り二日となり、みなこたちは約束通り、プールに行くための水着を買いに西宮にあるショッピングモールへと来ていた。阪急西宮北口(にしのみやきたぐち)駅から直結しているこのショッピングモールは、十年ほど前に出来たもので、百貨店や映画館も入っているかなり大きな規模の商業施設だ。  京都もそうだったが、お盆休みのせいでどこもかしこも人でいっぱい。広い施設内を歩いているだけで、人波に体力をそがれそうになる。 「みなこはどっちがええと思う?」 「どっちでもええんちゃう」 「ひどい! うちにもっと興味もってよ!」  両手に水着を抱えたまま、泣き真似をする七海を他所に、みなこはずっと静かな奏のことを気にかけていた。  
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