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それはご自由にどうぞ。七海が言う一番大きいやつとは、バンズとパティが何層にも重ねられているやつだ。店頭に並んだ写真には、肉の間から美味しそうにチーズがたれている。別の人が注文しているのを見たが、みなこでは食べ切れなさそうな量だった。
「でもやっぱり、明日のプールもあるしお小遣い節約やな……」
お小遣いを気にしなければ食べていたという七海の食い意地には感心する。とはいえ、みなこだって余裕があるわけではない。明日のためにも、余計な出費をしないように財布の紐はしっかり締めておかなくてはいけない。
ゆっくりと列が進む中、「それよりさ」と七海が目元にかかるくらいまで伸びた髪を指先で弾きながら呟いた。
「なに?」
「今日の奏ってちょっと元気なくない?」
「そ、そうかな」普段は何も気づかないくせに、とみなこは心の中でごちる。
「なんか困ってることあるんかも?」
七海の中では、合宿の時に奏が持ちかけてきた相談はすっかり忘れてしまっているらしい。悩むほどのことではないという認識なのかもしれないけど。「いつも通りちゃうかな」とみなこの下手なごまかしに七海は鼻息を荒くする。
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