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みなこの言いたいことが分からないと言いたげに、杏奈は自身の頬を掻いた。思わぬ杏奈の反応にみなこの脳内はパニックになる。それでも懸命に、杏奈の質問に答えようと頭を動かした。
「私は、奏ちゃんが杏奈先輩にうまく接することが出来なくて、いざこざが生まれているのかと」
「あー」
杏奈の声が硬い水色の絨毯の上に落ちた。それは理解したニュアンスだったが、同時に上履きのかかとをコンコンと叩きながら首を横に振った。
「ううん。そんなことないで。谷川ちゃんはちゃんと良い後輩してくれてる……。けど、谷川ちゃんが私に気まずさを感じているなら、それは私の責任やわ」
奏が気まずさを感じていたことを杏奈は自覚していたようだ。だけど、それは杏奈が部活を辞める動機ではないらしい。
「どういうことですか?」
理解が追いつかない脳みそが、みなこにそんな言葉を口走らせた。
「どういうことか……か。清瀬ちゃんは、私と谷川ちゃんを仲直りさせようと頑張ってくれたんやもんな。……里帆がなんか吹き込んだんかもしれんけど」
「それは……」
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