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「別に里帆のことはええねん。あの子は後輩にそんな役割を強要したりはせえへんから。ここに来たんは、きっと清瀬ちゃんの判断やろ?」
「はい」
「やったら……隠しとくわけにはいかんか。……合宿の時に話し聞かれた時点で、深堀りされたら逃げれんなと思ってたし」
杏奈はそっと窓から腰を浮かせると、徐に綺麗に並んだ椅子の一つに腰掛けた。
「清瀬ちゃんも座って。ずっと立たせておくのもあれやから」
少しだけ恥ずかしそうに杏奈は自分の隣の席をパンパンと手のひらで叩いた。みなこは小さく頷いて、そこに座る。
「清瀬ちゃんはホンマに素直やなー」
「座ったら駄目だったんですか……?」
「こんなしょうもない先輩の言葉に乗ってくれるところが素直やの」
杏奈は嬉しそうに品を作った。そんな先輩の内情がよく分からず、みなこの眉間にシワが寄る。それをまた楽しそうに杏奈はクスクスと笑いをこらえていた。
「真面目な話ですよね?」
「ごめんごめん。ふざけて誤魔化すんは悪い癖やな。里帆にもよく怒られる。うん。これはすごく真面目な話」
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