9話「境界線Ⅰ」

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「谷川ちゃんがそう感じているように、私がいても部の空気は悪くなっていくばかりやろうし。この文化祭を区切りにきっぱり辞めるのがええかなって。ベースは谷川ちゃんがいれば問題ないし、トロンボーンは織部先輩も伊坂も出来る。秋の大会にも支障は出ない。中途半端な実力の私はいてもいなくても同じってこと」  まるで自分にそう言い聞かせているみたいだ。そう思っても、それは口には出せなかった。 「部室のエアコンつけてくるわ。もう少ししたらみんな集まりだすやろうし」  そう言って去っていく杏奈の背中を、みなこは見つめ続けることしか出来なかった。
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