78人が本棚に入れています
本棚に追加
「谷川ちゃんがそう感じているように、私がいても部の空気は悪くなっていくばかりやろうし。この文化祭を区切りにきっぱり辞めるのがええかなって。ベースは谷川ちゃんがいれば問題ないし、トロンボーンは織部先輩も伊坂も出来る。秋の大会にも支障は出ない。中途半端な実力の私はいてもいなくても同じってこと」
まるで自分にそう言い聞かせているみたいだ。そう思っても、それは口には出せなかった。
「部室のエアコンつけてくるわ。もう少ししたらみんな集まりだすやろうし」
そう言って去っていく杏奈の背中を、みなこは見つめ続けることしか出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!