3話「無関心」

4/7

78人が本棚に入れています
本棚に追加
/1504ページ
「真似せんといてよ」 「同じクラスやねんからしゃーないやろがい」  すんと拗ねたように鼻を鳴らし、里帆は知子の方を向く。「すみません」と申し訳無さそうに頭を下げて、二つ結びにした髪を揺らした。 「ううん。クラスの準備も大切やから。セッションは二時からにしようか。それじゃ本日の練習はここまでです。お疲れ様でした」 「お疲れ様でした」  部員が一斉に返事をする。バタバタと周りが帰り支度を整えている中、みなこはぼんやりと桃菜の方を見つめていた。  昨日、航平と話したお陰で、やるべきことが見えた気がしていた。奏が傷つかないために自分に出来ること。それはやっぱり杏奈の説得だ。  奏のために部活を辞めないで欲しいと頼むしかない。だけど、これはやっぱり杏奈と桃菜二人の問題なのだ。一方的に、杏奈に求めるだけでは話の筋が通らないと思う。  つまり、まず今の自分が対話すべきは桃菜なのだ。彼女がどう思い、何を考えているのか。杏奈にしたように、彼女にもそれを聞かなくちゃいけない。
/1504ページ

最初のコメントを投稿しよう!

78人が本棚に入れています
本棚に追加