3話「無関心」

6/7

78人が本棚に入れています
本棚に追加
/1504ページ
 それじゃ逆に自分が退部する立場だったら。佳奈はどういう反応をしてくれただろう。  無表情のままこちらを見つめる佳奈が浮かぶ。おそらく桃菜も同じ反応をするんじゃないだろうか。安易な桃菜のイメージ像はそうだと告げてくる。もちろん、杏奈の心境の変化を気づいていない可能性もあるけど。もし知らないなら、当事者の彼女は知るべきだ。そう思うのはおこがましいことだろうか。  いつもの自分ならそう思って引き下がる。だけど、このままでは奏が傷ついてしまうのだ。他人の感情を言い訳に使うことに違和感を覚えつつ、きっとこれが航平の言う子どもっぽさだと自分に言い聞かせる。これは奏を守るための子どもっぽい私のわがままです、と。 「どっか不安なところがあるん?」  ふと、思考が途切れたみなこの耳に入って来たのはみちるの声だった。ピアノの前で赤いリボンのご機嫌に揺らしながら、七海と話をしていた。整理している大きいクリアファイルは楽譜を仕舞うためのものだろう。 「『Milestones』のドラムがまだ不安で。午前中にセッション出来たらなって思って人を集めてるんですけど」
/1504ページ

最初のコメントを投稿しよう!

78人が本棚に入れています
本棚に追加